かえるくんのゆかいな日常

かえるのふたりづれが、いろいろなところに旅するブログ。さあ、今日も昼からビールを飲むか...

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スイスのSicherheitshaftって言葉、ついつい気になって、調べすぎた…

今日の名古屋:晴れのちくもり。14℃/24℃。

ペンギンさんの職場は、今日からもう営業。もっとゴールデンウィークがほしいよぉ。

研究室に出てきて、何気なくネットを見ていたらアンテナに引っかかった記事がありました。何だこりゃ? 思わず調べ出すと止まらないもので、新たな知識を仕入れられるのはいいが、ペンギンさん、ほかに仕事はなかったの?

何年か前に名前が変わった、スイス・テレビ・ラジオ(SRF: Schweizer Radio und Fernsehen)のニュースサイトからなのです。この放送局、かつてはテレビ局がスイステレビ(SF: Schweizerisches Fernsehen)、ラジオ局がスイス・ドイツ語ラジオ(DRS: Deutsches Radio Schweiz)だったんだけど、放送局の体制が変わってラテ兼営局になり、こういう具合になったみたい。しかし、スイスの公共放送には、ドイツ語の放送のほかに、フランス語のとイタリア語のがあり、この際の組織変更で、それぞれ全ておんなじ訳語になるようにされちゃった。(フランス語はRTS: Radio Télévision Suisse、イタリア語はRSI: Radiotelevisione Svizzera)。なので、それぞれ言語を冠さないとわからないですよね。なので、訳文中は、SRFは、「ドイツ語スイステレビ(・ラジオ)」としています。

それと、SRFテレビのニュースは、お隣ドイツのARDのニュースと同名で、tagesschauっていいます。ただ、これをニュースサイトの名前にしているのはARDの方だけで、SRFのほうのウェブサイトは違うのですが。

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http://www.srf.ch/news/schweiz/bundesgericht-urner-barbetreiber-wieder-in-sicherheitshaft
ウーリのバー経営者 再び勾留 連邦裁判所
2015年5月5日(木)17:54、18:11更新

ウーリのバー経営者、イグナツ・ヴァルカー(Ignaz Walker)氏が、謀殺未遂事件で、ふたたび拘禁されることとなりました。連邦裁判所(Bundesgericht)が、ウーリ州検察庁からの抗告(Beschwerde)を認めました。これによって、上級裁判所(Obergericht)による釈放の判断は破棄されました。ヴァルカー氏は、[2015年]1月末時点で、起訴後勾留(Sicherheitshaft)から、いったん釈放されていたのでした。

ウーリで深夜営業を行っていた(Nachtlokalbetreiber)イグナツ・ヴァルカー氏が、連邦裁判所の命令で、ふたたび起訴後勾留(Sicherheitshaft)となりました。連邦裁判所が明らかにしたところでは、同裁判所はウーリ州検事局の抗告を認めたということです。これによって、ウーリ州上級裁判所(Urner Obergericht)による釈放の判断は、破棄されました。ヴァルカー氏は、[2015年]1月末の時点で、起訴後勾留から、いったんは釈放されていたのでした。

ヴァルカー氏は、特に、謀殺未遂(versuchter Mord)及び単純殺人未遂(versuchte vorsätzliche Tötung)で起訴されていました。連邦裁判所が事案をウーリ州上級裁判所に差し戻した後、被告人は、起訴後勾留執行4年を経過した2015年1月、拘禁状態から釈放されたのでした。上級裁判所は、その際に、被告人からの抗告を認め、逃亡または罪証隠滅のおそれはないものと判断していました。

犯罪的環境(kriminelles Milieu)とのつながり

今回、連邦裁判所は、反対の結論に至りました。それによれば、[連邦裁判所による本案の]差戻し判断(Neubeurteilung)は、対象者が長期の自由刑で有罪になる可能性を排除するものではない。手続関係者(Prozessbeteiligte)との接触は禁止されている(Kontaktverbot)けれども、罪証隠滅のおそれが十分に除かれているとはいえない、とされたのです。

状況、さらに、被告人に重い刑罰が科される可能性があることに鑑みると、謀殺未遂事案における罪証隠滅のおそれは大きい、と連邦裁判所は指摘します。決定理由として、連邦裁判所は、13ページにわたる判文を執筆しています。それによれば、連邦裁判所は、純粋な間接証拠評価手続(Indizprozess)では、証拠から得られる結論(Beweisergebnis)が、証拠方法(Beweismittel)の操作を通じて影響を受ける可能性が全くないなどとは、到底いえない、というのです。

連邦裁判所が理由において示すところでは、対象者は犯罪的環境とのつながりがあるとされています。対象者は、これまでに、身体傷害罪(Körperverletzung)で有罪になっており、過去の手続中の行為(Verfahrensakt)に照らせば、脅迫を行って人に影響を与えることを反復してきている、と連邦裁判所はいいます。

そのようなことから、連邦裁判所としても、この状況において、さらには重い刑が科される可能性がある事案であることに鑑みれば、被告人が、証人に影響を与えることで、裁判における真実発見を害そうと欲する可能性があることを考慮せざるを得ない。そのように、連邦裁判所は認定しています。

連邦裁判所による再度の拘禁命令(Inhaftierung)がでたことで、いまや、ウーリ州上級裁判所は、この男性に対する上訴手続を、緊急に追行(durchführen)しなければならないこととなりました。その公判期日は、まだ定まっていません。

依頼を受けた謀殺者の刑は既に確定済み(Auftragsmörder bereits rechtskräftig verurteilt)

このバー経営者は、2010年1月、自分の店の外で客1人を銃撃した疑いがもたれています。これに加えてかかっている容疑は、この男性が自らの妻を殺害するよう依頼した、というものです。妻の殺害依頼については、2010年11月に、3発の銃撃を受けて、生命に危険の及ぶ傷害を負わせています。

ウーリ州上級裁判所は、バー経営者に、第二審として有罪判決を下しました。この判決では、男性は、15年の自由刑が科されるものとされていました。しかし、連邦裁判所は、この判決を破棄しました。依頼を受けた殺し屋(Auftragsmörder)については、8年6月の自由刑の有罪判決が確定しています。

連邦裁判所は、今回の決定の中で、2つの点で抗告を是認しています。それは、第一の行為にかかわるものです。そうして、本案の差戻審で上級裁判所は、DNAの痕跡(DNS-Spur)を用いることが許されず、また、検察側の公判証人を見出すために、さらなる努力をはからなければならないわけです。

有罪判決を受けた謀殺者は、[2015年]1月、SRFドイツ語スイステレビの番組「ルントシャウ(Rundschau)」において、バー経営者の男性は無罪であって、被害者は陰謀家(Komplott)であると語っています。妻の殺害未遂は、バー経営者を捕まえさせるために、彼自身とその友人によって仕組まれたものである、というのです。しかし、この計画は、一部不首尾に終わったのだ、と、彼は言います。

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何となく気になったのは、Sicherheitshaftの文字。これはなんだろうと調べ出したら止まらなくなったってわけ。

スイスでは従来、各州がバラバラに刑事訴訟法を持っていて、だから小さな国なのに26の州刑訴法と3つの連邦刑訴法があるという乱立ぶりだったそうです。それも、フランス語圏はフランスモデルで、ドイツ語圏はドイツ語モデルでって具合に。ようように刑訴法の全国統一を果たした、その連邦刑訴法の施行は、2011年1月のことだったそうでして、だからペンギンさんの留学していた2012年頃は、刑事法の話題はそっちの話でもちきりだったみたいってわけ。

Abendschau Uni Zuerich

さて、そのスイス刑訴法では、予審があったころの名残だと思うのですが、起訴前段階が、警察「捜査(Ermittlung)」の段階と「予審(Untersuchung)」の段階に分かれていて、チューリヒ州では「予審」を担当するのは独立した検察官という建前みたい。その検察官「予審」段階でなされる勾留は、Untersuchungshaftって言います。趣旨を踏まえて訳せば「起訴前勾留」、Untersuchungという言葉の歴史性に着目すれば「予審勾留」ってなるでしょうか。

そして、検察官が裁判官に起訴(Anklage)すると、勾留の法的根拠が切り替わって、ここから有罪・無罪が確定して刑が執行される(あるいは不執行が確定する)までの間の勾留を、Sicherheitshaftっていうんです。これも趣旨を踏まえて訳せば「起訴後勾留」なのですが、Sicherheitという言葉に着目すれば「治安勾留」となるでしょうか。

このあたりは、スイス刑訴法220条の概念定義があります。

これらの言渡しの実体要件は221条に規定されています。起訴前と起訴後で共通です。日本の勾留の場合、住所不定のほか、①逃亡の恐れがあるとき、②罪証隠滅のおそれのあるとき、が法律上、要件とされています(60条1項)。スイス刑訴法221条の場合、①と②(②は「人に影響を与えあるいは証拠方法に作用を加えることで、真実発見を害そうとするとき」という表現になっています。)に加えて、③「著しい重罪又は軽罪を犯すことで、他人の安全を著しく危殆化するときであって、過去に同様の犯罪行為を行った前歴のある場合」が明示されているのが、目を引くポイントです。今回の場合、この3つ目の事由に当てはまって、勾留継続(再開)となったということですね。

ちなみに、このニュース記事のリンクをたどると、話題に上がっている連邦裁判所判決のページにリンクしてくれます。なかなか便利です。

もう全部を見る気力はないので、事実関係のところだけ見てみたのですが、だいたいテレビのニュースのとおりで、本案の方は1審、2審と有罪判決が続いたけれども、連邦裁判所に上告したところ原判決が破棄・差し戻しとなっているようです。それを受けて、被告人が勾留からの釈放、日本法に倣って言えば、勾留取り消しを求めたようです。で、この場合の最初の裁判管轄は、2審継続中だったので、ウーリ州における管轄裁判所、つまりウーリ州上級裁判所の裁判長ということになるようですが、こんどは勾留の取り消しを認めた。それで検察官が連邦裁判所に抗告した、という事案のようです。

で、ウーリ州上級裁判所が勾留取り消し・釈放を認めた際に、「代替処分(Ersatzmassnahme)」を命じていたということが、判決文に事実関係を整理した部分に書いてありました。根拠規定は、スイス刑訴法の237条にあるのですが、具体的にこの事案で命じられていたのは、a)身分証の効力停止(Ausweis- und Schriftensperre)、b)出国禁止、c)手続関係者及び(場合に応じて、将来の)情報提供者又は証人との接触禁止、の3点でした。cの点はニュース記事本文にもありましたね。

で、それでは足らない、やはり身柄拘束が必要だと連邦裁判所が考えた、ということのようです。

ちなみに、ウーリ州検察庁って、検察官4人くらいの体制でやっているみたいです。まあ、人口3万5000人というから、これでもオーヴァースペックという感じがしないではない。3万5000人で、1審と2審の裁判所を作ったりとか、けっこうコストがかかりますよね。まあ、こんなわけ分からなそうな事案じゃ、そりゃ裁判に時間もかかるだろう。ちなみに、連邦裁判所ローザンヌにあります。

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ところで、最初に気になっていたSicherheitshaftなのですが、実は刑法典にも同じ用語のものがあります。最初、まさかこっちの話!?とか思って読み進めて、何だ普通に刑訴の話か、と思ったのでした。

刑法のSicherheitshaftは、刑法典の中、「その他の処分」に含まれていて、要するに保安処分の一種という扱いです。スイス刑法66条がその規定なのではあるが、これがさっぱりわからないので、びっくりします。

つまり、未決拘禁とは別の段階の話として、人に危害を加えるような犯罪の危険がある(脅迫を加えてきた、あるいは過去にそういう犯罪を繰り返していて、それで有罪判決を受けている人である)場合に、潜在的被害者の申立によって、裁判所が、行為を行わないよう「約束(Versprechen)」をし、それを担保するための治安保証金(Sicherheit)の支払を求めるという制度があります。

この場合に、この治安保証金ってやつを支払わないとか、約束をちゃんと履行しないとなると、もうこれはだめだということで、拘禁する。これもSicherheitshaftっていうんです。訳すとすれば、治安保証拘禁とかになるのかなあ。

刑法66条に基づくこの一連の制度を、Friedensbürgschaftっていうんですが、これも訳がよくわからない。治安保証とでもしておこうっか。

あれっ、Sicherheitshaftって未決拘禁ってことでよかったよなあって何となく調べ出したら、スイスの話だしと思ってスイス刑法で見てみてこれがいきなり出てきたもんだからびっくり仰天。何だこりゃってことで一生懸命記事を和訳したら、それはれっきとした刑事訴訟の話で、また大変ってことになったわけ。

読みだした時には外が明るかったのに、もうこんな時間だよ。夕ご飯食べなきゃなあ…

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ペンギンさんのゴールデンウィークはもうおしまい。おとといはフレンズたちと楽しいバーベキューだったはずだけど、見事に雨に降られちゃった。その前日にした見に行ったときは、きれいに晴れていたのになあ…

Nekogahora-ike See

ペンギンさんとこの5連休(5月1日~5日)の中で、雨が降ったのは4日だけ。もうこれは、ペンギンさんの日ごろの行いが悪いとしか思えない!
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