かえるくんのゆかいな日常

かえるのふたりづれが、いろいろなところに旅するブログ。さあ、今日も昼からビールを飲むか...

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ベルンのアルプス(9)スイスという国(ちょっと番外編)

今日のチューリヒ:くもり(上空霧)。2℃/4℃。
(写真の準備ができなかったので、更新は翌日になっちゃいました☆)

そういえばきのう、チューリヒ大学の本館で、何やら人が集まっていました。

Hauptgebaeude UZH

何かと思ったら、どうやら選挙があるみたいなんです。

Wahl von StuRa

7つの学部から、任期1年で学生委員(Studierendenrat; StuRa)を選出し、こうして集まった70人の代表者が、大学の運営に参画したり、行事を行ったりするんだって。中には総長選挙への参加なんていう任務もあるらしい。ペンギンさん、こういう全学レヴェルの学生会見たいのを組織する大学の経験がないから、ちょっと新鮮。

で、ちょっとびっくりするのが、なんと会派(Fraktion)が形成されていたりして、公約とかがあったりするんです。とはいえ、学部単位のものも多いようですけれども。いくつかは全国的な正当と関連するのかな? で、なんとどうやら、各学部ごとに比例代表で選挙しているみたい。比例代表って文化が本当に浸透しているんですね、こっちでは。

それにしたって立候補者がちゃんとそろうかのほうが、日本だったら心配になるところですよね。政治性というのが、ある一時期にある種のイデオロギーに縛られてしまって、だから政治性をもつことが自分の表現を決めてしまうようになってしまったこの社会では、今のところ難しそうな、学生委員会の健全運営…

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このブログの連載は、ちょうどベルンの街に来たところまで来ました(前回はこっち)。その日はちょうど国民議会と全州議会の総選挙の日で、テレビも選挙速報だったのです。これを、中央駅のミグロとキオスクでお酒とサラダを買い込んで、ホテルの部屋で大人しく見ていたのでした。

ein Hotelzimmer am Abend

世の中の民主的な国家システムには3種類あって、大統領制(アメリカ型とフランス型に分かれる)、議院内閣制、そして会議政というのがあるそうです。最後のシステムはスイスしか採ってないんだって、昔「比較憲法」という時間に教わりました。そのごく少数の例外の国に、今ペンギンさんはいて、ちょうどその国民の選択の瞬間に立ち会ったのが、首都ベルンだったってわけ。

スイスの議会は、多くの例と同じで、2院に分かれています。下院にあたるのは国民議会(Nationalrat, le Conseil national)。これは国民代表ということで、人口に応じて各州選挙区に議席が配分されています。各選挙区内では議席は比例代表で分配されることになります。ただし、州に必ず1議席は配当というわけなので、ものすごい規模の小さな州だと1議席だけ持っていて、実質的には小選挙区制が採用されている例もあるらしい。裏を返せば、国民議会であっても、議員定数は間違っても人口と均衡しないシステムです。議席は全部で246.

上院にあたるのは全州議会(Ständerat, le Conseil des Etats)。こっちは最初から人口比なんか関係なく、各州の代表2人ずつが選ばれます。どんな小さい州でも2人。ただ、例外があって、歴史的に1つだったのが分裂して成立した州(かつての「準州」)は、1人ずつしか選べません。そういう組み合わせがスイスには3つくらいあって、ヴァルデン、アッペンツェル、バーゼルがこれに該当します。というわけで、20×2+(6/2)*2=46が全州議会の定数となります。

この両院を含めた、立法・行政の国の中枢が入っているのが、連邦館(Bundeshaus)

Bundeshaus

ちょっと仕事などもあったので、チェックアウト時間の11時に行動を開始したペンギンさん。適当に市外に出て、昼過ぎにこの建物にはいってみて、きいてみたところ、16時30分のガイドツアー(無料!)があいているとのことだったので、それに参加することにしたのでした。それが始まるまでふらふらし害を歩いたり、あるいはスターバックスでお仕事の続きをしつつご飯(パニーニ)を食べたり。

時間が近づいたので連邦館の建物に行くころには、天気がかなり良くなっていました。

入るとまず受付によってチケットをもらって、そこから反対側のセキュリティーのところを通過します。携帯電話やカメラは、そこを入った先のコインロッカーに預けることになります。残念ながら中は撮影禁止。とても巨大な見事なホールで説明をする際に、ガイドのおねえさんが、こんな素敵なステンドグラスを写真に撮れないのは残念よね、っておっしゃってました…

おねえさん、かなりなまってはいるものの、標準ドイツ語でお話ししてくださりましたから、多少は、…多少は理解できた…のだといいのだけれど… ちなみに、一緒に回った韓国からのゲストたちは、なんだかちんぷんかんぷんといった様子でした。まあ、スイス国民向けのツアーなのだろうから、しようがない。

この建物ができたのは1800年代の半ばから後半にかけて。まさに首都機能を果たさせる目的で建てられた建物です。この時期にそれが必要になったのは、小国家の緩やかな同盟体がスイスという一つの国へと発展したのがちょうどこの時期だったからだそうで、それは1848年の憲法制定によるものだったのだとか。この年といえば、フランス2月革命と、それに触発された各国の3月革命が吹き荒れた年ですね。今調べてみると、スイスではその前からいろいろあったらしく、いずれにしてもこの年に国家体制というものを構築して、首都が必要になったのです。それがベルンだったというわけ。

そういうわけだから、建物は全国のあらゆる芸術家を呼び、あらゆる産地から資材を取り寄せて、それはそれはお金をかけて出来上がったのだとか。それは玄関ホールに見事に結実していて、ステンドグラス、肖像などなど、19世紀趣味にあふれた作りになっているのだけれど… 絵葉書にも描写がない。セキュリティーの関係かな?

お金がかかるのは建物の建築費と維持費(これもすごいらしい…)だけでなくて、議会の構成上もお金がかかるようにできています。こっち絵葉書があった。国民議会の議場。

Karte Nationalratssaal

ちょっとびっくりしたのが議席の配置で、議場向かって左から(うろ覚えだけど)社会民主党(SP, PS)キリスト教国民党(CVP, PDC)急進自由党(FDP.Die Liberalen, PLR.Les Libéraux-Radicaux)スイス国民党(SVP, UDC)と、まあなんと見事に、文字通りの左翼から右翼というこの配置! 議席は日本と同様に、各会派内では年長者が後ろに移動していくんだそうです。その後ろの壁には、各州のワッペンがずらっと並んでいます。そういえば、建物ができたのは1800年代だから、当時存在しなかったジュラ州ベルン州から戦後になって独立)のワッペンは玄関ホールに飾るスペースがなくて仲間外れだけど、議場内には何とか作ったそうです。

それから、さすがスイスだと思われるのは、通訳の存在。ドイツ語フランス語イタリア語の通訳がちゃんと詰めていて、それぞれの議員は母語で発言することができるんだそうです。今は同時通訳のイヤフォン見たいのを使っているのかな? ただ、最大派閥のドイツ語話者ですが、議会内公用語は標準ドイツ語なので、そこが悩みの種なんだって、おねえさんが笑ってました。

議場のホールの後ろは豪華なロビーになっています。

Karte Lobby von Bundeshaus

これまた本当に「ロビー」なのだそうでして、各議員が、二人ずつだったかな?同伴することの許される人というのがいて、ここでロビー活動するんですって! それからメディアなどが取材するのもこのエリアとのこと。ちなみに、外国からの国賓を招いてパーティーするのもここなのだとか。

で、全州議会の議場はこんな感じなのだそうなのだけれど…

Karte Staenderatssaal

…残念ながら今日は用事とかで、中には入れませんでした。
↑からちょっとわかるのは、傍聴人がそこそこ入っているということなわけだけれど、実はこれは全州議会のほうだけで、国民議会の傍聴席は猫の額なんですって。ここの膨張はとても難しいらしく、まず当たらないわよって言うのがガイドのおねえさんの言。というのも、全州議会はそもそも公開だからよかったのだけれど、国民議会は、当初は非公開だったから、傍聴席が設計されていないんだとか。

それにしても、ドイツについては、いくら不勉強なペンギンさんでも、大学院で勉強していくうちになんとはなしに身に付いた基礎知識というのが少しはあるんです。それに引き換えスイスの知識はゼロのままこっちに来ちゃいましたから、最近になってやっとニュースが分かる気がするようになってきた。大体この国に政党がどういうのがあるのかも知りませんでしたから。

大政党は前述の4つ。社会民主党は、うっかりSPDと言いたくなるけど、SPDの最後のDはドイツのDだから、ここではそれを省いてSPが通称。社会主義ってのはもともと国際的な思想だから、たぶん思想傾向は基本的には同じ。

急進自由党は、FDPの由来をたどるとこうなるから、そしてこの政党が吸収合併の母体のほうだったから公約しているけれども、本当はスイス自由党と合体して、正式名称が略称になっちゃった。自由主義の経済・社会体制を主張する政党。ドイツのFDPとは意味が違うんですね(ドイツはfreiのF、スイスはfreissigのF)。

キリスト教国民党は中道で、キリスト教精神に基づく政治を行うのがモットーというだけだから、いま一つイメージがわかないままなんですけど、ドイツのCDU/CSUに似ているのだろうか。

スイス国民党は、これが一番問題で、地方の農民層などをそもそもの支持基盤にしていた保守政党なのだけれど、近年はただ保守なだけでなくて、移民制限を声高に主張して、その手法がだいぶぽぴゅりスティックだということで、得票をずいぶん伸ばしていたけれども、知識層からは批判の多い政党だったようでした。

eine Analyse auf dem Pamphlet

連邦館で拾ってきたパンフレットに、各政党の傾向が乗っていたのだけれど、社会民主党(左側の赤)とスイス国民党(右側の濃緑)は、構成員の意見が見事にまとまっています。こういうのって、たぶん日本人好みだと思う。それに引き換え、特にキリスト教国民党(オレンジ)は各議員がバラバラ。ペンギンさんが政治家だったら(なりたいなんて露にも思わないけれども)このくらいの思想傾向がいいけれども、キリスト教精神ってのに乗りきれないかもしれないから、次点で急進自由党(右上の濃青)ってところかな? とにかく、思想統制される集団に属するのはごめんこうむりたい。

この4党が、歴史的に連邦参事を輩出してきた政党。

スイスのシステムが、(大統領はいるけれども)大統領制ではなくて、議院内閣制でもなくて、会議政だというのはこの部分で、閣僚にあたる連邦参事7人を、国民議会と全州議会の両院総会で決めるんです。連邦参事はどっちかの議会の議員さんではなくて、たとえば今の連邦大統領(要するに連邦参事首席、任期1年の互選)は、ジュネーヴ州の議員と執行委員(閣僚)を務めたのちに連邦参事に選ばれたようです(いつものこれを見ました)。そういう、議会に基盤をもたない立場だから、当然ながら解散権がない点が、議院内閣制とは分類されにくい理由だそうです。つまり、立法権が飛躍的に強い権限をもっているわけで、連邦の裁判管轄に属する裁判官の任命もこの両院総会に基づくのだとか。

ついでながら、連邦参事さんたちのオフィス(要するに各大臣の執務室)もこの連邦館の中にあったりして、連邦参事は議会の関係事項の質疑には出席義務があるから、開会中は全州議会と国民議会の間を行ったり来たりしているんだそうです。

で、選挙前の国民議会で見ると、スイス国民党64:社会民主党49:キリスト教国民党45:急進自由党47だから、要するに過半数を握る正当というのがなくて、伝統的にスイスはそういう具合なので、主要政党間で話し合いをして、伝統的に連邦参事を選んできたんだそうです。長年続いてきたのはマジック・フォーミュラといわれていて、3党が2人ずつ、スイス国民党が1人という具合で40年くらい続いたのだけれど、スイス国民党の急伸でこの均衡が崩れて、さらにスイス国民党の内紛で今はちょっとひっちゃかめっちゃかになっています。つまり、小政党が連邦参事の席をもっているということ。そろそろ任期が切れる現在の連邦参事の構成は、社会民主党2:急進自由党2:キリスト教国民党1:スイス国民党1:市民民主党1ということだそうです。

小政党で有力なのには緑の党市民民主党(BDP, PBD)緑の自由党(GLP)がありますが… 緑の自由党って何だ? これがいまだによくわからず…

緑の党はドイツ同様に社会民主党と協調路線なのですが、この間の選挙では惨敗しました。なんででしょうね、原発が政局だというのに。スイス国民党が大きく議席を減らして、急進自由党もダメで、キリスト教国民党が微減。社会民主党は維持。そして伸びたのが市民民主党と緑の自由党だったのでした。この2党はさっきのパンフレットのグラフでも中間派です。そして、連邦参事を輩出しているのは、市民民主党だそうです。もとはスイス国民党の左派とのこと。

ちなみに、投票率、なんと28パーセントくらいだったそうでして… 日本の未来はまだ明るい!

それにしても、選挙速報を見ていての感想ですが、ペンギンさんは選挙速報のテレビが大好きで、選挙があるとついつ夜更かししちゃうんです。でもこっちのはそれほど面白くないのです。それはたぶん、完全比例代表だから、テレビ局の予測が出ちゃったらそれでおしまいで、あとの熾烈な票の競り合いがないんです。この辺りがつまらない理由でないかな。

そのかわり、選挙後の今焦点となっているのは連邦参事の選出問題でして、市民民主党の、スイス国民党からすれば裏切り者のヴィドマー=シュルンプフ連邦参事が再任されるかという問題と、引退を表明したカルミー=レー現大統領の後をどうするかというあたりが焦点で、特に市民民主党がヴィドマー=シュルンプフ氏を再任させるためには、キリスト教国民党と緑の自由党との連携が欠かせないが、これが容易でないらしいということと、選挙に負けてなお最大党派のスイス国民党が二人目の参事を狙うか、といったところが焦点のようです。

確かにこれは政治がつまらなくなるわけだ… 選挙結果では次の政権がクリアに決まらなくて、その後の政局泥泥を経て、常にオール与党の政権が成立するというのがスイスというわけです。なんというか、わかりにくい…

そういえば、ペンギンさんも大好き、某アニメの「自由惑星同盟最高評議会」について、ウィキペディアに「この国には野党でありながら政権に参画できるシステムがあるらしい」みたいなことが書いてあってびっくりしたことがありますが、考えてみると、案外スイスの体制が比較的近いのかもしれませんね。ただし、この国の大統領は、固有の権限をほとんど持っていない点が違いますが。

一回スイス選挙のニュースをもうちょっとよく見てみようと思って延び延びにして、この機会に勉強がてら紹介しようと思ったのですが、なかなか難しいものですね…

連邦館の建物巡りの話に戻ると、この建物の正面玄関の外は見事なテラスになってまして…

Terrace Bundeshaus

Bern aus Bundeshaus

夕方になってから天気が良くなったってこういうこと。見学終了後に建物の玄関から出てみると、この旅行の前日にたどった、あのベルナー・オーバーアルプの山々がくっきり見えたのでした。思わぬ再会。

Berner Oberalp

ただベルン州にあるから「ベルナー・オーバーアルプ」っていうわけじゃないんですね。ベルンの街から見えるんですね…
そんなベルンの街には…

Plakate fuer den Wahl 2011

選挙ポスターがずらっと、まだ残っていました。ずいぶんたくさん政党があるんですね。どの政党もListe○と宣伝してますが、投票用紙はどうなっているんだろう。それにしてもいろいろ主張があって、中には「チューリヒばっかり優先するな」と主張する政党なんかもあって、この国にもこういう問題があるんだなと思いました。

そうそう、選挙はまだ完全には終わってないんです。全州議会は(通常)2議席を争う候補者を2名連記で投票するシステムなんですが(実は2州だけ比例代表らしい…)、過半数を獲得した候補がないと、第2回投票に回るんです。第2回投票の立候補資格はどうなっているのかな? 各州ごとに決まっているのかもしれませんね。いずれにしてもその選挙が、次の週末らしい。そこで全州議会の陣容が固まって、連邦参事選挙が12月になってから、という日程のようです。

ちょっといつもと違う調子になっちゃいましたが、旅行のお話はまだ続きます。
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